【イベントレポート】アメリカにおけるニュースアプリの将来 by Cheetah Global Lab @SVIEF
戸村さんにご招待いただいて、SVIEFというイベントに行ってきました。
Silicon Valley Innovation & Entrepreneurship Forum (SVIEF)となんとも仰々しい名前です。
このイベントは中国人を対象としたシリコンバレーのビジネスイベントで、沢山の起業家や投資家たちが登壇しております。
参加者に日本人が多いイベントだとどうしても登壇者や、そのイベントでシェアされる情報に偏りが出てくるのでほとんど日本人のいないイベントということで個人的には行けて嬉しかったイベントです。
さて、気になったプレゼンをまとめます。
プレゼンテーマは
【 Is It Time to Copy China 】 by Cheetah Global Lab
アメリカにおけるニュースアプリケーション市場に関してのプレゼンテーションです。
ちなみにプレゼンターであるCheetah global labさんは中国大手のCheetah Mobileという会社のシンクタンク部門のようです。
( Cheetah Mobileアプリのダウンロード件数は全世界で23億件を突破し、月間アクティブモバイルユーザーは6億 3,400万人を超えています。 )
さて、プレゼン内容に移ります。
最初は質問で始まります。
世界で一番成熟しているニュースアプリ市場を有しているのはどこの国か?
答えは日本でした。
<スマホに二ュースアプリを入れている割合>
日本…30%
中国…18%
US…14%
という調査結果だそう。日本が成熟している理由は、日本は通勤通学に時間のかかる国であり平均2-3時間かかっている。故にその時間を情報収集に当てるのでニュースアプリの需要が高いと述べています。
理由はそれだけではないと思いますが、なるほどというデータです。
次の質問は
世界で一番競争が激しいニュースアプリ市場を有しているのはどこか?
答えはまさかのインドでした。
何をもって競争が激しいというのかが重要ですが、ここでは市場の5%以上のシェアを握っているアプリが国内にいくつあるのか?というところで見ているようです。
インド・中国には国内に6つものアプリ(シェア5%以上)が存在する一方、アメリカ国内でシェア5%以上を誇るアプリはわずか2つしかないそうです。
さらに、この結果からアメリカのアプリ市場は成熟していない。攻め込む場所(empty roomという表現は面白かった)がまだまだあると続けていきます。
そもそも、アメリカは14%の人しかニュースアプリを入れていないのはなぜなのか?
理由は以下の三点です。
下の2点はあまり知らない情報だったのでタメになりました。最近Live Streamingサービスの動向(特にスポーツ)を調べており、やはりtwitter・facebookあたりがどんどんその分野に投資をしているのはこういった傾向があるからなんだなという腹落ちをした瞬間でも有りました。今後テレビを潰しうるかもしれません。
(Live Streamingサービスの動向詳しい方コメント等いただけるとありがたいです。)
次に、ニュースアプリの4つのカテゴリーを紹介します。
- News aggregation apps
- Media subscription service apps
- Comprehensive news portal apps
- Traditional media apps
1 キュレーションアプリです。日本のNewspicksやSmartnews、Gunosyといった各社の情報を一つのアプリにまとめているサービスのことです。
2 google play newsstand やkindleアプリなんかがここにはいるでしょうか。
3 Yahoo News, AOL and MSNを代表とする、PCが中心の時代にニュースキュレーションサイトとしてユーザー獲得をしたサービスになります。
4 Fox NewsやNYtimesといった昔からのニュースのアプリ版です。
USではaggregation app、キュレーションアプリが流行っていないんですね。
1のキュレーションアプリよりも4のtraditional medea appsの方が高いユーザーロイヤリティーを持っていると述べています。
4のTraditional media appsが週に平均3.34%開かれるのに対し、1のNews aggregation appsは週平均が2.23%となっています。
証拠として、サムスンの携帯に最初から入っているからこそユーザーを獲得できているだけで、アプリそのもののユーザー体験は高くないと問題点をあげています。
(フリーダウンロード率は高くないということを表しています。)
以上のUSのニュースアプリ市場から、今後のトレンドは個人にパーソナライズされたニュースアプリが来るよという流れになります。(日本人としては今更感はありそう。)
実際に現在のUSのニュースアプリ市場の1,2,4位はパーソナライズアプリです。
さらに、中国市場においてもパーソナライズアプリがトレンドであり、ニュースアプリ市場もどんどん拡大していると述べていました。
中国のトップ10ニュースアプリは、1,3,4位がパーソナライズアプリで、その他はポータルアプリです。興味深いのは、traditional mediaが10位に含まれていない点です。
しかしながら、USのアプリ市場を切り崩すには3つの課題があるとも述べています。
1.CoryRight
アメリカでは非常に著作権や個人情報等の権利が厳しく、各新聞社やメディアのcopyrightを持っている会社が勝ち残れる。権利を持てない会社は勝ち残れないと述べています。
2.compete SNS media
序盤に述べたように、アメリカ人はニュースをSNSを通して読む傾向があるので、twitterやfacebookに勝てるようなメディアにならなければいけない。(簡単に言ってたけど無茶苦茶ここキモかなと)
3.algorithm
どれだけ個人に最適化されたニュースを提供できるかが鍵となる。そこで使われるのがAIであり、ビッグデータを活用してdeeplearningをこなしていくことで、既存のTVなどよりも質のよい、満足する情報を提供できるようになる。
まさか、アメリカが中国を真似るの?と最初は思っていましたが、ニュースアプリの市場においてはアメリカのほうがまだ遅れているというプレゼンでした。
とはいえ中国も1,2年前にニュースアプリが出てきたばかりという話をしていて、その拡大スピードの速さには恐怖を覚えました。
偶然そのイベントでお会いしたWHILLの杉江さんも、このスピーチを聞いて改めて中国とアメリカの怖さを感じるし、いまの資本主義の仕組みで日本が勝つことが厳しくなってくるよね、、、とおっしゃられていたのが非常に印象的です。
今現在だと、やはり日本市場の中でニュースアプリがパイを取り合っている印象がありますが、おそらく来年あたりになって海外のニュースアプリが日本市場に侵食してきそうなイメージです。
ニュースアプリだけではなく、SNS(特にsnapchatやtwitterあたり)が情報収集という面で代替企業になりうるなあと(実際に10代20代前半はそうなってる)強く感じたイベントでした。