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シリコンバレー留学中にアメリカ株投資をしながら調べたことをアウトプットするブログです。

【起業家インタビュー】Apple出身のCEOに聞く、IoTビジネスとスタートアップのモチベーションとは?

日本に流れるシリコンバレーの情報はどうしても著名な起業家や投資家、日本人の起業家に絞られることから、シードラウンドの(創業間もない、投資額も大きくない)海外の起業家にフォーカスしてインタビューを行い、彼らの考えやビジネスに迫ります。

 

昨年7月に創業されたDor TechnologiesのCo-founderでCEO(最高経営責任者)のMichael Brandさんのインタビューです。

Appleを辞めて自ら起業された背景とそのモチベーション、自社サービスについての想いについてお話を聞きました。

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(Michael Brand Linkdinより)

 

【会社紹介】Dor Technologiesとは

2015年7月に創立されたスタートアップで、レストランや小売店のエントランスに取り付けるIoTデバイスを開発、販売しています。エントランス上のセンサーが入客数を自動でカウントし、スマホやPC上で1時間ごとのデータを確認することが出来ます。その他天気の情報や、売り上げの情報を連動させることで効率的な経営の手助けをしています。

詳しくは前回の記事に記載しています。 

siliconvalley-student.hatenablog.com

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それではインタビューに移っていきます。

海外起業家のシリコンバレーでの起業のきっかけとは?

・Michaelさんの起業するまでのバックグラウンドを教えていただけますか?

私はAppleでソフトウェアエンジニアとして働いていました。Appleでは主にAirplayやHomekitのコードを書いていましたね。Appleを辞めて、私と共同創業者のGreggはコンシューマー向けのハードウェアスタートアップで、開発リーダーとして働いていました。その中で、持っている知識をもとに、適切なリーンスタートアップのやり方を学びました。

 

・もう1人の共同創業者はどういった方なのでしょうか?

CTOのGregg Golembeskiがもう一人の共同創業者です。彼は同じくAppleのソフトウェアエンジニアでした。iPodのOSやAirplayを担当していましたね。

会社を経営している上で、僕たちの個性や、持っているスキル・知識はお互いの能力をそれぞれカバーしあっており、満足した仕事が出来ていると思っています。

 

Appleを辞めて、自ら起業するキッカケは何だったのでしょうか?

先程も言ったように、我々はAppleで数年間働いていました。その際、社内政治や煩しい社内関係や手続きが時としてイノベーションの妨げになりうるということを感じていました。

自ら考えた新しいアイディアを素早く試し、新しい価値を生み出そうとした時、最も最適な方法がスタートアップ(起業)をすることだと思ったからです。

 

・起業をする上で影響を受けた人はいましたか?

アイディアや製品がどのように良いものになるかアドバイスしてくれるとても親しいメンターグループが僕を支えてくれています。しかしながら、起業やサービスの判断は基本的に自分の判断で行っています。

 

Dor Technologiesさんのビジョンを教えてください。

Dor Technologiesは、今まで焦点を当てられてこなかった昔からの軒先の小売店・直接お客さまと接するビジネス(Brick-Mortar retail)の環境を変えたいと思っています。商取引の殆どは店内で起こっているものなので、私たちはこのマーケットをもっと大きくし、できるだけ効率的に小売店のビジネスが行われるような世界を作りたいと思っています。

 

自社のサービスの戦略や競合に関しての考えとは?

・自社サービスの最も優れている点はどこだと思われますか?

価格はとて優れているポイントの一つです。使い始めるのにかかる費用を他の製品と比較すると、10-15倍も安くなっています。今までのやり方だとどうしても価格面で問題が生じていましたが、新しいデータの分析方法を開発できたことで解決することができました。

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・似たような他社製品についてはどのようにお考えですか?

現在市場に出ている他社製品はとても有効で素晴らしいものばかりです。しかし、昔ながらの小売店のオーナーが使うにはかなり難易度が高いです。また、小売店だけでなく大型の店舗にとっても、導入には多額のお金がかかってしまうという問題が有りました。 

一般的に、製品の販売サイクルは数ヶ月で、なおかつ導入してからも1.2ヶ月の試験運用期間が必要です。一方でDorはセンサーの設置から実際のデータ活用までたった数分で完了します。

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・お客さんの入店数以外に、どういったデータを集めているのでしょうか?

Dorのデータ分析システムは、店内で発生している全般的なデータ全てを集積します。実際の売上データ・天気情報・近隣でのイベント・マーケッティングデータがこれに当たります。リーンスタートアップの特性を活かし、必要であると判断すれば新しいデータをトラックすることも可能です。

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・最後に、どのようなプランでこのサービスを拡大しようとお考えか教えてください。

現在、我々の主要なマーケットは"browsing" environmentsです。言い換えると、衣類や家具といったような高い利益率を誇りながらも、回転率が悪い・改善の余地があるマーケットといえます。我々のほとんどのお客さまはデジタルマーケティングによって色んな情報を取れるようになりますし、それを活用して売り上げをもっとあげることもできるはずです。

  

                ★ ★ ★

 

以上が第一回のシリコンバレー起業家インタビューでした。

Appleでソフトウェアエンジニアとして働かれた後、次はハードウェア系の会社に転職して更に知識を得、それらの経験を活かして現在の会社を興したとのことでした。

社員数は6人とまだ創業して間もない会社です。しかし、2人の共同創業者がお互いのスキルを補っているとおしゃっており、 お互いが信頼し合いながらどんどん経営をしているという印象でした。

 

製品に対する考え方は、値段が他の商品よりも安い点を競争優位があるとおっしゃっていました。しかしそれ以上に、ユーザーの使い勝手の良さ、ユーザーのビジネスが成長することを第一に考えてデザイン・開発されているという考えに重きが置かれています。

 

今後もインタビュー記事を多めに書いていきたいと思います。